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経済産業省中小企業IT経営力大賞認定(2013年)支援事例:吉田運輸株式会社様

攻めのホームページと守りのデータベースで新規開拓と顧客満足を目指す。~吉田運輸株式会社~

 

■導入の目的と背景

□需要の低迷、低価格化の要請

国内大手・中堅運送業の荷主である大手企業が海外進出などで国内の運送利用が減少しており、より小規模の荷主企業の案件を確保しようという動きが活発化し、同社の需要低迷、縮小につながっています。運送を外注する荷主企業も増加していますが、依然として運賃水準は低価格で推移しています。

□新規顧客の獲得に向けて

新規顧客開拓に向けて「ホームページを利用して新規顧客開拓を向上すること」「24時間ホームページでの見積りと、受注の両方を実現すること」が求められます。

□人材育成、従業員の意識向上

大手・中堅運送業との差別化には、コストを下げるよりもサービス業としての品質を上げること重要です。ドライバーと荷主が良好な関係を構築できるよう人間力を磨くため社員に会社のビジョンを伝達。社員の意識改革によって荷主の顧客満足度を向上させる努力をしました。また、新規のお客様から継続受注できるよう社員教育を実施し、会社の現状(決算内容等)をオープンにしたり、コストのデータ分析、車輌別売上データ管理、場合によって他社トラックを活用するなど採算性の良い事業への改善を目指しました。

 

■IT化の概要

□自社専用業務システムの開発・活用

24時間、ホームページで見積りと受注の両方を実現する「自動見積システム」を自社で独自に開発。時間の制約なく、新規の荷主から引き合いを受けられます。

□データベースや情報分析ツールの活用

「車輌別売上データベース」を構築したことで、社員情報、顧客管理、求車管理、車輌管理、取引先管理、納品管理などの様々なデータを分析し、経営管理(管理会計)として活かしています。これから大手・中堅運送業との競争が激化する時代に、売上や規模の向上ではなく、利益確保による社員満足度を向上することで成功しました。

□ホーページやWebサイトの活用

ホームページを新規構築し、SEO対策も万全にしています。この結果、「埼玉 運送業」のキーワードで上位に表示され、結果、「自動見積システム」との相乗効果に成功しています。

 

■IT経営推進における取組み

推進キーマンは常務取締役で、経営とITの両面で多くの情報収集力と外部人材の有効活用ができたことで、CIOとして経営戦略を踏まえたIT活用ができました。このことが主体的、広範囲な活動に結び付いています。

 

■導入効果

□車輌別売上データベース

IT経営で取り組んでいる「車輌別売上データベース」を有効に活用し、輸送サービスを時間単位で、切り売りして1日の売上を形成しています。このように小規模運送業の中でも、攻めであるホームページと、守りであるデータベースの両面でIT経営に取り組んでいる運送業は非常に少なく、同社の強みであると言えます

□新規事業、新しいビジネスモデルの創出

社員の燃費数値の改善5.6km/lが、6.1km/lに改善されました。不採算荷主への数字を使った交渉が可能となり、運賃の値上げを認めて貰うことに成功しました。

IT経営後、運輸業を取り巻く環境は改善の気配がなく、同業者が倒産や廃業が続く中、ホームページから適正価格での受注ができるようになり、平成23年度は営業利益も出せました。

□市場開拓・販路拡大

1.3億円の売上に対して、0.75億円の運送原価でしたが、現在は1.2億円の売上に対して0.66億円で、ドライバー一人当たりの利益率は向上しています。ドライバーの人数とトラック数を減少させていながらも売上の維持を達成できています。

□新規事業、新しいビジネスモデルの創出

自社の企業ブランド化を狙い、「ホームページ+自動見積システム」による埼玉県の経営革新計画の承認も得ることができました。

□市場開拓・販路拡大

市場を埼玉県に絞り、ブルーオーシャン戦略の中で、自社の強みを生かしたマーケットとの付き合い方ができました。

□他社との協業等による事業拡大

ホームページや自動見積システムでの引き合いが増えた物量においては、外部の運送協力会社にネット経由で問い合わせをするという業務委託フローを確立できました。

 

■IT経営推進を支援した方々

阿部 満(ITコーディネータ)

株式会社CAN

 

引用:http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/it-keiei/itjirei/case2013/case_yoshidaunnyu.html

 

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